もう帰ってくるなよ!【軽率に生きる日】

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お題:たい焼き

人間には2種類の人間がいるんだってね。たい焼きを頭からいくやつと、しっぽからいくやつと。

まず言いたいけど、生き物を頭からがぶっといくというのは、人としてどうだろうね?あんこが詰まっててうまいとかいろんな理由があるだろうけれど、だからって許されるだろうか?たい焼き屋の店主は「まいど!」と言いながら毎度毎度、実は心で泣いてるんじゃないか?(あの客、今日もおれの子を頭から…ちくしょう!!!!)

かといって、しっぽからいくやつも信用ならない。どうせがぶっといくなら、生殺しのようにしっぽから少しずつなんてのは、鬼畜の所業。しっぽに始まり頭を食べ終えることを想像すると、まるでハンニバルのレクター博士のようで末恐ろしい。そしてこういうタイプはしっぽのカリカリを楽しんでいる。だから頭からいくやつよりも食べるのが遅い。ちいさなひとくちでカリカリをたくさん味わっているからだ。

わたしがたい焼きなら、頭からいってくれ。と心から願うね。店主は育ての親だ。喧嘩もたくさんしたが、涙もろい親父だから、できることならおれを食うのは店を出てからにしてくれ。あの人を泣かせたくない。泣きながらまた、たい焼きを焼く姿はもう、見たくない。

わたしはしっぽからいくタイプだけど、やっぱり自分がたい焼きなら頭からいってほしい。意識や自我を早めに失っていたい。痛覚も、自分が食べられるという事実からも早く解放されたい。

ちょっとリアルに考えすぎて怖くなった。

どこかにいるんじゃないかな?たい焼きを毎日買っては、こっそり海に逃してるひと。「もう帰ってくるなよ!」って。ボチャン!って。茶色い紙袋から出したふにゃふにゃのたい焼きを、港から海へ投げ込むの。およげたいやきくん。およげおよげ。彼は紙袋をくしゃくしゃにして泣いているだろうね。

パートナーとたい焼きを共有するなら、わたしは自分がしっぽのカリカリが好きだからこそ、それを相手にあげるのだと思っていた。しかし今、わたしは割ったたい焼きの前後のうち、夫に堂々と頭側を渡す。夫も当たり前のように受け取って食べる。そういうわたしたちの中で、図らずもふたりになったたいやきくんたちが、もう片側を求めて胃袋を泳ぎ始めていたら、楽しいな。

泳げ泳げ。

お題:たい焼き

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