きみはタモリ【軽率に生きる日】

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お題:ない

すぐ泣く。ほんとにすぐ泣く。子どもでなくもちろん、わたしの話だ。

そんで更にいうと人前でも平気で泣く。いや平気ではない。平気ではないけれど泣く。これは一応にも社会人として生活するにはなんとも生きにくいしやりにくい。

働いて7年目の会社では既に15回は泣いている。多いか少ないかで言えば明らかに多いだろうと思う。そもそも会社で泣くなんて甘えだという考えもあるだろう。

しかし無理なのだ、あるパターンに陥るとだばだばに涙がでるのだ。

パターンの代表が、査定。うちの会社は半期に一回目標をたてて、その結果を半年後に面談形式で査定される。その査定の一時間は、半期に一度のだばだばタイムになる。

誤解のなきようにいうと、うちの会社はわかりやすいブラック企業だったりはしない。恫喝されたこともないし、頭ごなしに否定されたこともない。

そして、査定の場は和やかだ。にもかかわらず、なのだ。

褒められても、課題を提示されても、上司のくちから出る言葉で脳みそがぐるぐるに震えて、そんなの自分にしかわからないから、涙になって体の外へ排出されてしまう。もちろん絶対に泣きたくなどない。そして泣けば許してもらえるとも思ってないし、その前にそこまで叱責されることもない。

自分でもなんじゃこりゃであるし、上司も、更に上の上司も驚きだろう。入社以来1年ごとに上司が変わり続けているせいで何人もの上司の前でこの醜態をさらしている。上司は「どうしたの?泣かなくていいよ」と笑ってくれるが、わたしは必死でこれ以上泣かないようにするしかできないから、へらへら笑い返すのみだ。

こんな自分だから、査定にはハンカチを持っていくようにしていたのだけど、あるとき

「ハンカチがあるから泣くのでは?」

と思い至った。あーー!なるほどね謎が解けたわ。そういうことかと。

そこで次の査定では意気込んでハンカチを持たずに会議室へ入った。

想像にかたくないが、スーツの袖で涙と鼻水を拭くことになった。普段は私服なのにその日に限ってスーツだったのもショックで、査定を終えて潤みきった目で自席に戻ると、左手の袖がナメクジがはったように光っていて情けなかった。これクリーニングに出すんかえ…クリーニングのおばちゃんが心配するじゃろ…

で、だ。昨年から目標作成を拒否している。

経緯はそんな単純じゃない(査定で泣くのがいやで目標作りたくないっすとは言えなかった)けど、ボーナスカットを条件に許可が出た。

ボーナスは下がるがお金では得られない安心感を得た。というより取り戻した。受験勉強のように答えがあることに点数がつくのは納得できるが、上司によって異なる評価基準がある中で点数をつけられて、かつそれでボーナスが上下するのが納得できない。好きか嫌いかで点数をつけるなら納得できるので「あなたのやり方はすきじゃない」「あなたのそういう態度はすき」ならいくらでも点数をつけてほしい。感情がないと納得できないのは生まれつきか。

このような査定を避けられたおかげで、泣きたくない場面で泣く機会もめっきり減った。

会社で泣く機会は減ったが、人生で泣く機会は減りはしない。定期的なコーチングではほぼ毎回泣いている。音声のみだからコーチは気付いてないこともあるだろう。だって泣くような場面ではないことが大半なのだ。一般的にはおそらく。

自分の心の深淵をのぞくと涙がでるのだ。これ以上深く潜るには泣かなくてはならない、と感じるし実際に涙がでる。そして深く深く自分を感じることになる。

先日のぞんだ対面のセッションでも序盤の「何が心に引っかかってるんだろうね?」という問いかけで涙が出た。深淵に行くためには必要なチケットだ。目からこぼさない代わりに鼻水になったので、コメダの店員さんが出してくれたおしぼりでささっと拭いた。

かなり自然な流れで拭いたはずだが、やはり「鼻水拭いちゃった。恥ずかし。」とは思う。

しかしそう思ったら緊張がほぐれた。だから、それまではお行儀よく座っていたのだけれど、靴脱いであぐらかいてセッションにのぞむことにした。ちなみに緊張というのは相手にいい顔をしたいからで、好きな人と会うと大体そうなんです。この発言の方がよっぽど恥ずかしいだろう気もするが、大声で告白したいタイプだからいいんだ。

あれ、でもそうすると、涙のおかげで色んないいことがあるな。

納得のできない査定を拒否することができたし、好きな人と会うときの緊張もほぐれるしで。悪くないのかもしれない。

いやちょっと待てよ。前者はいいとして、後者は涙っていうか鼻水のおかげで、元をたどればコメダのおしぼりのおかげで…あの妙齢の店員さんのおかげで…

おかしいな…

でも、あなたの前でまた、泣いていいかな?

タモリなら、「いいとも!」と、言うはずなんだ。

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